あなたの大切な人を苦しめるパチンコとはどんなもの?

パチンコ

パチンコを打たない人には、なぜパチンコを打つのか理解できないでしょう。しかも、たまにではなく「依存性」と呼ばれるほどの頻度で打つ人もいます。

その人達がどのような思考でパチンコ屋に通っているのかをご説明しましょう。

「あなたは誰なんだ?」と思われるかもしれませんが、私はかれこれ15年ほどパチンコを打っている(実は主にパチスロ)ダメな人間であります。そんな私だからこそ彼ら、彼女らの気持ちが理解できるのです。

恋人や家族がギャンブル依存性で困っている方がいらっしゃれば、是非ご覧下さい。どのような感情でパチンコ屋に行っているのか分かるかもしれません。

パチンコ屋の大前提

では、あまりパチンコ屋についてご存知ない方もいらっしゃると思いますので、パチンコ屋の基本的な前提を確認しましょう。

パチンコという遊戯

パチンコ屋に入るとパチンコ台が整然と並んでいますので、空いている席に座ります。台に物が置いていたり、玉が入っているのは誰かがキープしているので避けます。

台に座ったら、左側上手に現金投入口があるので、そこにお金を入れます。大体下限が千円で、一万円まで入れることができます。台の液晶の下辺りに「貸出」と「返却」というボタンがありますので、「貸出」を押すと玉が出てきます。出てくる玉の数は125玉で、1玉4円で交換できます。ですので、1回ボタンを押すと500円分の玉を借りたことになります。

玉が出たことを確認して、台の右下にあるハンドルを回せば玉が打ち出されます。そして、打ち出された玉が台の真ん中の穴(人の体でいうとヘソの辺りなので「ヘソ」と呼ばれています)に入ると一定の確率で当たりを抽選します。その結果を台の液晶で告知します。当たりかどうかは穴に玉が入った瞬間に決まっていますが、液晶で「当たってるかもよーっ!?」と煽りを入れることによって打つ人をわくわくさせます。この煽りこそが中毒になるひとつの要素だと考えます。

500円で125玉と書きましたが、これで大体10個前後ヘソに入ります。肝心の当たる確率はというと、最近は1/320が主流となっています。ですので、ヘソに玉が320個、500円×32=16,000円で理論上は当たるようになっています。「当たったらいくらでるの?」ということですが、平均すると4,000玉、約16,000円分の玉が出ます。「そしたら店は儲からないんじゃないの?」と疑問に思われるかもしれませんが、釘を調整して500円で10個のところを7,8個にして理論上の確率で大当たりが来れば、店が勝つようにしているのです。

だったら、「こんな状況で打つ人はバカなの?」と思う方もいるかもしれません(正直バカなんですが…)が、そこがパチンコの難しいところでして、偏りによって煙に巻かれて打ってしまうのです。

偏りとは大きく分けて3つあります。

3つの偏り

ヘソに玉が入る現象

1つはヘソに玉が入る現象です。ハンドルを捻ると玉は釘にあたり、125個の内、数個がヘソに入りますが、これは完全な物理現象で、偶然です。どういうことかというと、125個打って12個入る可能性もあれば、5個しか入らない可能性もあるということです。そして本当に回る台があると思い込ませることによって、「この台は店が用意してくれたお宝台なのでは!?」と錯覚を起こします。実際に回るように調整している場合もありますが、店の経営が成り立つには大多数の台が回らないようになっていることは明らかでしょう。

当たりの抽選方法

2つ目は当たりの抽選方法です。パチンコの抽選は完全独立抽選を採用しています。難しく聞こえるかもしれませんが、サイコロを振るのと同じということです。サイコロは1の目が出たからといって次は1の出る確率が下がることなんてないですよね?それと同じで常に同じ確率で当たりを抽選しているということです。で、サイコロを振ればわかりますが、1の目が最初に出ることもあれば、10回目に出ることもあります。ですので、パチンコも500円で当たることもあるということです。これが、パチンコを打たせるひとつの要因となっています。

当たりによって出てくる玉の量

3つ目は当たりによって出てくる玉の量です。聞いたこともあるかもしれませんが、パチンコには確率変動というものがあります。確率変動になれば当たり確率が大幅に上がり、約10倍ほどの確率で当たります。玉を減らさず当たりが引けるのです。そして確率変動には連続性があります。例えば1回の当たりで1,000玉出る台が75%で継続すると、平均値は4,000玉ですが、1000玉しか出ないこともあれば、10,000玉出ることもあるということです。

偏りのまとめ

以上、この3つの偏りによって本来の姿がぼやかされてパチンコを打つ動機となっています。もしこれらの偏りが無ければ、パチンコを打つ人は皆無でしょう。1回当てる度に確実に負けますからね。この偏りによって1日打った時の勝率は大体50%ほどとなっています。回らない台を打ち続けると必ず負けますが、1日単位だと勝つこともあれば負けることもあるということです。

パチンコの換金

玉は1つ4円で借りられると書きましたが、パチンコで遊んで残った玉を買い取ってくれるのです。店によって変わりますが、1玉2.5円~4円で買い取ってくれます。そして、法律を犯さないために3店方式という方法を採用していますが、これは別の機会にお話します。ともあれ、玉を最終的に現金に換えることができるということで、パチンコがギャンブルとして成り立っています。

換金率の幅があるので、みんな4円で買い取ってくれるところに行くのかというとそうではなく、2.5円に行く人もいます。なぜかというと、4円の店が500円で10回穴に入るのに対して2.5円の店は15回入ったりします。2.5円の方が少ない投資で当たりの抽選を多く受けられる可能性が高いので、理論上は少額で当たる可能性が高く、結果的に出た玉の換金率が悪くても勝つ可能性が下がるという訳ではありません。換金率が違えど結局はお店の調整次第ということです。

足を踏み入れる際の心理

これまで書いたような内容は、長年パチンコを打つ人にとっては常識です。どうでしょうか?これまでのことをご覧になって、パチンコ打つ人の心理がおわかりいただけますでしょうか?おそらく「NO!!」でしょう。

では、どういった心理状態で入店するのでしょうか?それは「ずっと通い続けて適当な台に座っていると負けるのは分かっている。しかし、今日だけに限れば勝つ可能性は50%ある。」という心理です。そういえば、50%の勝率で店は儲かるのかと思う方がいるかもしれませんが、50%で10,000円客が勝ち、50%で15.000円で店が勝てば、店は儲かります。このような図式で経営しているのです。客側に勝てる可能性を十分に持たせることによって、自店へ誘い込んでいるのです。

そして、パチンコを打てば数万円の勝ちを得られる可能性がかなりあります。もちろん数万円負ける可能性も同程度あります。経験則から言えば、10万くらい勝てばかなりの額を勝ったことになります。10万円負けることはかなり稀です。なぜなら、それほどお金を入れることがないからです。日をまたげばもちろんありますが。

この金額を見てどう思われますか?10万円と言えば、独身の私が趣味で使える1ヶ月分の最高額くらいです。それを1日、うまくすればほんの数時間で得られるのです。笑いが止まりませんね。この感情が不幸を招きます。先に述べたような当たり前の前提である、打ち続けたら負けるという事実を忘れてしまいます。そしてまた打ちに行きます。負ければ、この前10万円勝ったのだからとぼんやりした理由で打ちに行きます。最終的には、打ち続けたら負け続ける状態に入り抜け出せなくなります。パチンコの依存性は蟻地獄に似ています。自分で気がついた頃には自力で抜け出すのが困難な状況になります。

パチンコ台の種類

パチンコには依存に拍車をかける要素として台の種類の多さがあります。パチンコには様々な種類やメーカーが存在して、その違いは当たり確率や確変突入率の出玉設計に関わる部分と、当たりを告知する演出の部分の2つの要素があります。出玉設計に関する部分の差はあまりないのですが、演出に関する部分は無限に変えられます。

最近はCMでも見かけますが、アニメ、ドラマ、アイドルなどファンが多数存在するようなものを題材にしています。そのキャラや人間に当たりを告知する演出をさせるのです。自分の好きなキャラや人間のパチンコでしか見ることのできない姿と共に玉(金)が出てくることは痛烈な非現実的幸福感と言えるでしょう。病みつきになる人がいることにも頷けます。(自分もですが)

また、パチンコを打つ人も人間ですからひたすらに時間と金銭を失うことにこの上ない絶望感を覚えます。「ずっと打つと負けると分かっているのに自分はなんてバカなのだろう?」と。一種の混乱状態に陥ります。この頭の中で同居しようもない現実を解消するのもパチンコの演出です。要はこういうことです。「自分は負けると分かっていたが、それはパチンコでしか見ることのできない好きなキャラや人間を見るために打っていたのだ。」と。そう考えることによって自分を納得させるんですね。パチンコメーカーにとっての企業努力とは、いかに多くのファンを作れるかということですから、胸を打つような演出の台を出してきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?文字だけではなかなか伝わらないかもしれませんが、パチンコ屋に行ってしまう心理とはこういうものです。

パチンコにはまってしまう人が庶民なのは、そこで得たり失ったりする額がその人にとっては無視できない額だからです。演出はお供え物です。無視できない額が動いて初めて演出が活きてきます。ゲーセンのパチンコはがらがらですよね?

メーカーやパチンコ屋はより多くの人にパチンコを打ってもらう努力をします。それは会社だから仕方がありません。世の中がパチンコ屋の存在を認めている以上、大事なのは利用者側の付き合い方にかかっています。

自分の大事な人がパチンコ屋に行かないでほしいのなら、パチンコ屋について知ることも助けになるかもしれません。

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