ラッキートリガー時代なのに、なぜパチンコ離れが止まらないのか

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パチンコ

最近、「ラッキートリガー(LT)」の登場でパチンコの射幸性が再び解放された、しかしパチンコ離れは進んでいる。──そんなニュースを目にしました。

業界的には“復活の狼煙”のように語られていましたが、実際にホールに通っている私からすると、「いや、そりゃ離れるでしょ」というのが正直な感想です。

私が初めてパチンコを打ったのは20年前。

まだホールには500円玉を握りしめたおじいさん、おばあさんがたくさんいました。

羽根物やのように、1万円あれば一日中遊べるような台が多く、勝てなくても楽しかった。

それが今は、射幸性を高くしすぎた結果、遊技性が失われつつあるように感じます。

「遊び」から「博打」へ──変わりすぎた20年

昔はどの台も、ある程度の時間をかけて遊ぶことができました。

ところが今のホールを見渡すと、並んでいるのはほぼ爆裂機ばかり。

低貸しの1円や2円パチンコはまだ“遊び”の形を残していますが、4円パチンコのメイン機種は完全に“勝負台”です。

振り返れば、バランスが良かったのは「継続率65%規制」があった頃かもしれません。

CR機からP機へと変わる過渡期、時短込みでおおよそ70%前後の継続率。北斗無双のような80%ループ機がまだ許されていた時代です。

ところがその後、80%ループは禁止され、継続率は軒並みダウン。面白い台が減り、ユーザーも離れました。

業界は“抜け道”として一種二種混合機を生み出しました。

シンフォギアのように、保留や電チュー抽選を絡めて実質80%ループを実現したわけです。

それでも根本的な解決にはならず、「どうせなら完全に規制を緩和しよう」という流れの中で、現在のラッキートリガー時代が訪れました。

エヴァ15が教えてくれた“黄金比”

規制が少し緩和された頃、爆発的にヒットしたのが『エヴァンゲリオン15 未来への咆哮』です。

20年打ってきた私でも、あそこまで人気を集めた機種はそう多くありません。

約1/319で当たり、突入率約70%、継続率約80%、オール1500発。──これこそが“黄金比”でした。

1日打てばほぼ確実にSTを体験でき、勝ち負け抜きにしても満足できる。

「今日はST入らなかった…」なんてことがほとんどない、遊技として成立するバランス。

この“安心感”こそが、多くのプレイヤーを惹きつけていたのだと思います。

ラッキートリガー機が抱える「お金の壁」

では、ラッキートリガー時代に突入した今、なぜ客が減り続けているのか?

答えは単純です。お金が持たないからです。

たとえば『ガロ12』のような最新LT機では、初当たり確率が約1/440、そのうちラッシュ突入はわずか1/4。平均出玉は2万発──確かに夢があります。

ですが、現実的には1日打ってもラッシュにすら入らないことがある。

その間に平気で5万円、6万円が溶けていく。

これでは“気軽に打てる娯楽”ではなく、“リスクの高い投資”です。

お小遣い5万円のサラリーマンが月に数回打つとすれば、もうそれだけで終わり。

勝つ楽しさどころか、遊ぶ余裕すらない。だから離れる。至って当然の流れです。

情報化が「余白」を奪った

さらにSNSやYouTubeの影響で、パチンコは完全に“分析ゲーム”になりました。

「この台はボーダーいくつ」「回らない台は打たない」──効率的に立ち回るのが当たり前。

逆に言えば、かつて存在した“オカルト的な楽しみ”がほぼ消えてしまったとも言えます。

昔は「200回転超えたらそろそろ当たる」「この台は波が荒い」といった独自理論を持つ常連がホールを支えていました。

そうした“非合理な楽しみ”があったからこそ、回らない台でも打つ人がいた。

今は期待値という言葉が浸透しすぎて、誰も“無駄”をしなくなった。

その結果、ホールも客も余裕がなくなっている気がします。

「遊べる台」が戻れば、人も戻る

パチンコが再び盛り上がる可能性があるとすれば、それは「バランスの取れた台」が増えることです。

エヴァ15のように、当たりやすく、ある程度のまとまった出玉が期待できて、何より“打っていて気持ちいい”台。

演出、音、ラウンド構成、そして出玉設計──すべての要素がちょうどいい。

私は羽根物やエヴァ15のように、勝ち負けを超えて“楽しかった”と思える台が再び増えれば、客は戻ってくると思っています。

結局、パチンコの魅力は「お金」だけではなく、「日常から解放される時間」なんですよね。

そこにバランスが戻るかどうか。

ラッキートリガーのような爆裂仕様が注目を集めている今だからこそ、もう一度“遊びの原点”を見直す時期に来ていると、私は思います。

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